三沢栄一様を訪ねて ―
ヴィオラ・ダ・ガンバの詩魂・藍原ゆきが、日本古楽黎明期を支えた先達、三沢栄一様を訪ね、その歩みと想いを辿る記録。
資料も楽器も乏しかった時代に、音楽への情熱と信念で道を切り開かれた方々がいた。
そのおかげで今、私たちは「古楽を日常に感じる時代」に生きている。
三沢様のベルトランモデルをお預かりしたご縁から始まった“静かな継承”の物語を通して、
古楽という文化の深層と、現代に息づく敬意の形を記していきます。
【とにかくね、楽器が欲しかったんだ①】
製作家はね、ペーターとのお付き合いだったんだけれど。
とにかくね、楽器が欲しかったんだ。
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当時ね、地元の大学が楽器を作って、それが手に入りやすかったんだ。7万円くらいだったと思う。もちろん、今の7万円の価値ではないよ。
それがね、6弦のディヴィジョンヴァイオルだった。弦長が65cmだった。
それを弾いていたんだけれど、大橋先生のレッスンに行った時に、「サウンドホールは、そんなにでかくないよ」って言われて。
だから、資料の写真を見たりして、寸法を計って、自分で埋めたんだ。
でも、当時は今のようなニスと違って、ウレタンニスなんだ。だからそれだと、デリケートな発音ができないんだね。それも、他にバスガンバを弾いたことがなかったから、知らなかった。
大橋先生には、また、「ニスを塗り直したらいい音がするよ」って言われて。削るわけにいかないから、剥離剤で剥がして。
シェラックニスっていうのは手に入った。天然のニスだね。それを塗ったり乾かしたりして。そのほうが、オリジナルに近いと思ったんだ。
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でもね、オリジナルは見たことがなかった。
ガンバがどういうふうに作られているのか、知らなかったんだ。
そういう時代だったんだね。
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まとめはこちらから
https://note.com/shiny_dahlia839/m/m5a866ffd81c0
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