2024.01.26
「朗読とヴィオラダガンバで届ける愛の詩」に寄せて⑥

「朗読とヴィオラダガンバで届ける愛の詩」に寄せて⑥

今回の演奏プログラムは
マレの表題音楽作品を中心に組みました。
一部、ヴィオル曲集二巻、五巻からも取り上げますが
主には、彼のヴィオル曲集四巻より
「異国趣味の組曲」から演奏します。

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マレはヴィオル曲集四巻のなかで
バスヴィオルによるトリオソナタと併せて
この「異国趣味の組曲」を発表し
序文の中で「フランスにおける新しい出発」と呼んでいる。

特筆すべき点は
伝統的な舞曲を形式に基づき展開させる
いわゆる「組曲」のイメージを破り
一部、舞曲を取り入れながら
数々の表題音楽作品を中心に
構成されている点であろう。

調整により響きが大きく変わる
ヴィオラダガンバの特性にも
深くアプローチして
明確な記述はないが
各調の独自の世界観を感じさせる。

変ホ長調の「タルタル人の行進」から始まり
嬰ヘ短調の「戯れ」で終わっている。

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オーヴィディアストレ社の
『マラン・マレ:ヴィオル曲集』に載せられた
大橋敏成先生による解説を
引用させていただきたい。

もしマレが1711年の「ヴィオル曲集三巻」で
創作活動を閉じていたとしたら、「第二巻」(ガンバ演奏の巨匠性を強調した画期的な曲集)を頂点とし、「第三巻」で大家の余裕を見せた、17世紀ヴェルサイユ・ヴィオル楽派を総括する大ヴィオラダガンバ奏者と謳われただけにとどまっただろう。しかし、18世紀初頭の活気に満ちたフランスの音楽状況は、すでに老年を迎えていた彼をして、あの「第二巻」がそうであったように、再び同時代の識者の目を見張らせた、画期的な「ヴィオル曲集四巻」を分娩させたのである。1717年、マレ61歳の時であった。

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演奏会のご案内
〈朗読とヴィオラ・ダ・ガンバで届ける愛の詩〉

『かのひと 超訳世界恋愛詩集』菅原敏
マラン・マレ 「人間の声」「アラベスク」他

2024/3/16(土)
淡路町カフェカプッチェットロッソ
11:30〜、14:30〜
3500円 ドリンク&お菓子つき
完全予約制

お申込み
ventvert0403@gmail.com