2024.03.08
「朗読とヴィオラダガンバで届ける愛の詩」に寄せて⑭

「朗読とヴィオラダガンバで届ける愛の詩」に寄せて⑭

今回の朗読プログラム内で
ウィリアム・バトラー・イェイツの詩を
菅原敏さんの現代語訳で取り上げます。

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ウィリアム・バトラー・イェイツ(1865〜1939)

アイルランドの詩人・劇作家。

幼少のころから親しんだアイルランドの
妖精譚などを題材とする抒情詩で
注目されたのち、
民族演劇運動を通じて
アイルランド文芸復興の担い手となった。

モダニズム詩の世界に新境地を切りひらき、
20世紀の英語文学において
最も重要な詩人の一人とも評される。

「芸術性が高く精妙な詩歌によって国民全体の精神を表現した」として
1923年にノーベル文学賞を受賞した。

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画家だった父親の影響か
ダブリンの美術学校に学ぶ。

美術の道に進むことはなかったが
ここで多くの出会いを得たようである。

当時、ヨーロッパの美学や哲学を
カバリズムや古代エジプトの神話などと
関連させ、研究していた
「黄金の夜明け団」に1890年、入会する。
イェイツは「悪魔は裏返しの神」を意味する
魔法名を名乗って活動していた。

1890年、耽美派詩人たちと
「詩人クラブ」(Rhymers’ Club)を結成。
酒場に集まって
自作の朗読と批評を繰り返した。
イェイツはこの集まりを通じて
フランス象徴派詩人たちの活動に
触れることになったほか、
この酒場で浸った芸術至上主義こそ
自分の詩作の原点だったと
後に振り返っている。
また1892年には
アイルランド出身の詩人たちと
「アイルランド文芸協会」(The Irish Literary Society of London)を設立、
ダブリンにも文芸団体を発足させて
民族文学の発掘と普及に力を入れ始めた。

1889年1月、イェイツは
モード・ゴンという女性に出会う。
モードはイギリス軍人の娘でありながら
アイルランド農民の悲惨な暮らしに
深く心を寄せ、
過激なアイルランド独立闘争運動に
身を投じた活動家である。

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イェイツはモードに魅せられ、
出会ってまもなく彼女に求婚する。
モードはこれを断るが、
その後もイェイツの恋情は
失われることがなかった。
イェイツは50歳すぎまで独身を続け、
幾度か彼女に求婚を繰り返しながら、
生涯を通して
モードを詩想源とする作品を書き続けた。

日本の能とケルト文化の共通点にも魅せられ
『鷹の井戸』という戯曲を残している。

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演奏会のご案内
〈朗読とヴィオラ・ダ・ガンバで届ける愛の詩〉

『かのひと 超訳世界恋愛詩集』菅原敏
マラン・マレ 「人間の声」「アラベスク」他

2024/3/16(土)
淡路町カフェカプッチェットロッソ
11:30〜、14:30〜
3500円 ドリンク&お菓子つき
完全予約制

お申込み
ventvert0403@gmail.com

#朗読とヴィオラダガンバで届ける愛の詩