19世紀末から20世紀初頭に活躍した
ウォルター・クレーンは
人が生理的に持つ
「好き、嫌い」「快、不快」などを含む感性を
こんなに繊細な絵で表した。
心の奥深くにある
他人からの干渉が一切入らない
純粋な場所のこと。
自分を偽れない場所でもあり
現代社会においては
この場所を守ることは難しいかも知れない。
でも、自分以外には誰もアクセスできない
大切な場所でもある。
美しく、可視化されたこの絵を見ると
心の、この部分を守ってきたこと
ここからのエネルギーを
やっと、外に出そうとしていることに
改めて、励まされる想いがする。
※※※
今、フォルクレを弾いていて
心の張りが緩みきった状態で
楽器と対話する安らぎに浸っている。
なんども調整を変えて出てくるテーマ
その度に、響きや残響が違う。
ヴィオラダガンバだから。
同じテーマ、音型なら
全て同じ表情で弾くべきだと
固く信じている人もいる。
そういう人と共演すると
アーティキュレーションや
ディナーミクは揃えながらも
楽器と、対話ができなくなる。
今、私の楽器は
決して、演奏会で
伸びやかに歌える状態ではない。
方向が、外に向いていないから。
でも、形ではなくて
こんなに楽器の声を聞けるなんて
なんだか、泣きそうになる。