2023.07.03
「楽の戯れ」によせて②

今は、世界の名画を
ネットの画像で見ることができますね。

例えば、フェルメール…
見ていると、時間があっという間に経つので
気をつけなければいけませんが。

有名な
「真珠の耳飾りの少女」
手紙を扱った
「恋文」
「手紙を書く婦人と召使い」
そして、
「ヴァージナルの前に立つ女」
「リュートを調弦する女」など
楽器が描かれている作品には
やはり、特別なときめきを覚えます。
「ヴァージナルの前に座る女」
「音楽の稽古」には
ヴィオラ・ダ・ガンバが描かれています。

彼の作品は
陰影と光の緻密なコントラスト
複雑な配置構図など
バロックの魅力を持ちながら
同時代の題材は神話や聖書、静物画、肖像画が多い中
豊かな市民生活に焦点が当てられます。
バロック時代を生きた人々に想いを馳せる身としては
特別に心惹かれてしまうのです。

17世紀のオランダは
「黄金時代」と呼ばれています。

大陸の内外を問わず
国際貿易の大成功によって
財力を持ち、自立した市民が力を持ちました。

微妙なパワーバランスやしがらみを背景に持つ貴族と違い
自由意識の市民が文化芸術においても
保護育成の役目を果たしました。
出版の技術も高く
その環境、気運はフランスからデカルトを呼び寄せ
スピノザなど国内の哲学者にも大きな影響を与えることとなります。
他の国では問題になる内容の哲学書、科学書でも
出版可能だったそうです。

しかし、どのような自由意識も
無抵抗で勝ち取れるはずはありません。
スペインとの80年戦争
イギリスとの第三次英蘭戦争
フランスのオランダ侵略戦争は
いずれもこの時代に起きています。

そして、やはりこの時代は宗教弾圧があり
芸術文化を「穢らわしいもの」として排除する動きさえあったと聞きます。
その影響なのか
教会、貴族は
芸術保護に無関心でさえあったと
記述で見ました。

その中で、美しさ、価値を見出したものを
伝えていこう、後世に残そうと
美術、出版に尽力した市民のエネルギーは
どのようなものであったでしょう。

シェンクの「楽の戯れ」は
1698年(1702年の説あり)
アムステルダムで出版されました。

(続きます)