ドゥマシは1685年に出版された「ヴィオール曲集」で知られる
17世紀にフランスで活動した
ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者です。
伝えられている情報は少なく
生没年は不明で
更にはフルネームも伝えられていません。
彼の「ヴィオール曲集」では
序文に楽器の奏法や装飾に関する細かい説明があり
その日本語訳全文は
関根敏子先生と神戸愉樹美先生による
「ジャン・ルソー著、ヴィオール概論」で見ることができます。
私は高校時代にこの本と出会いました。
タイトル通り
ジャン・ルソーの「ヴィオール概論」が主に扱われていますが
その背景に
1680年代のフランスで
次々ヴィオラ・ダ・ガンバの出版物が花開いたこと
そのトップバッターとしてドゥマシ、
そして彼とルソーが奏法や作曲技法について
濃密な議論を交わしたことが
丁寧に説明されています。
私がイタリアで勉強していたときも
この本を持っていきました。
ドゥマシの楽譜は、
今はウェブ上で誰でも見ることができますが
私が学生の時はそういう状況ではなかったので
初めて彼のファクシミリをコピーできた時は嬉しく
日本語訳と併せてイメージを馳せたものです。
私は現地で
R・ジーニ先生とG・バレストラッチ先生に
ご教授いただきましたが
どちらの先生もフランス語が堪能で
ドゥマシの序文に関して
沢山の質問をさせていただきました。
その時に
「あなたはフランス語を解さないのに、どうやって読んでいるの?」と
不思議がられましたね。
この時に
学術的なことを踏まえて
奏者の立場で文献を読む時に
ただ資料を受け止めていくことではない。
楽器との対話、
常に張り巡らせる音楽の探究心
立証できないものをどこまでも感じ取ろうとする
膨大なエネルギーが必要なのだと
美しく、鳥肌の立つものを感じました。
(続きます)