今回の新譜「いにしえの吐息」は
長い期間をかけて温めてきたプログラムで
私達は、CD化の前に演奏会をしました。
沢山の、温かいお客様に囲まれて
このプログラムを演奏できたことは
録音に際しても、心の励みになりました。
演奏会に向けて書いていた文章を
ここでまたご紹介したいと思います。
今読み返すと
当時の想いが蘇って
なんとも言えない気持ちになります。
お付き合い下さい。
※※※
「フランスいにしえの吐息」に寄せて③
シェンク三昧の日々から
マレの音作りに
少しずつ、切り替わってきました。
チケットも、ご注文いただいていて
とても嬉しいです。
これからの日々
準備を重ねて行きますので
よろしくお願いいたします。
私はヴィオラダガンバしか弾かないので
音楽史上、決して広い範囲を
レパートリーにできるわけではないけれど
それでも、テオルボとのデュオで取り組んだ
シェンクの世界から
マレの初期作品に移ると
飛行機で違う世界に移動したような
風景の違いを感じます。
シェンクからマレの世界に戻って
最初に、1巻のd-mollから入りました。
まずは、そこから
そしてその立ち位置で
2巻の組曲も見たかったのです。
♬♬♬
生涯にわたり
5冊のヴィオール曲集を発表したマレは
印象に残る性格的小品を含む
多くの組曲を残しました。
コレッリのそれと
ほぼ発表時期を同じとする
壮大な「スペインのフォリア」
フランスの庭園か
もしくはギリシア神話のイメージなのか
「迷宮」。
そして、それを含む「異国趣味の組曲」は
三拍子のアルマンドや
アルマンドとジーグを同時に弾いたり
モーツァルトの様な遊び心を思わせる
新しい試みに溢れています。
以前、何気なく「タモリ倶楽部」を見ていたら
マレの「膀胱結石手術図」が取り上げられて
嬉しかったです。
当時、マレ本人が施術を受けたらしい
そして、その経験を
ガンバの表現技法の拡大と重ねて
曲にしてしまおうという発想は
今の時代の、どんな分野の人から見ても
純粋に、面白いことなのだなと思いました。
と、マレの作品について
いくら話しても言葉が足りませんが
今回、個人的にブランクを経て
また、演奏会でマレを取り上げられることになり
どうしても演奏したかったのは
1巻の、一番最初の組曲d-mollです。
(続きます)
2023年9月8日記
France, the ancient sigh
ヴィオラダガンバ 藍原ゆき
チェンバロ 渡邊温子
ご注文、お問い合わせはこちら
https://yuki-aihara.com/contact
disk1
マラン・マレ
「1台もしくは2台のヴィオルのための曲集」1686年パリ
Marin Marais
“Pièces a une et deux violes” 1686 Paris
組曲ニ短調 Suite in D minor
「ヴィオルと通奏低音のための曲集第二巻」1701年パリ
“Pièces de violes & basse-continues du second Livre de pieces de Viole” 1701 Paris
組曲ニ長調 Suite in D major
disk2
フランソワ・クープラン
「クラブサン曲集第四巻」1730年パリ
François Couperin
Quatrième Livre de Pièces de Clavecin
第27オルドルロ短調
Vingt-septième Ordre in B minor
「ヴィオルと通奏低音のための曲集第二巻」1701年パリ
“Pièces de violes & basse-continues du second Livre de pieces de Viole” 1701 Paris
組曲ロ短調
Suite in B minor
Recorded at 17,18,19/04/2024 Studio Piotita Tokyo
Japan
使用ヴィオラダガンバ
Michel Colichon, Paris 1693年モデル
Pierre Bohr, Milano 2001年製製作
使用チェンバロ
Pascal-Joseph Taskin モデル
Eizo Hori, 1989年作製
調律、調整 横溝昌一
Producer Yuki Aihara, Atsuko Watanabe
Co.producer Atushi Sano
Mixing engineer Kazuhiko Nakao
Mastering engineer Kazuhiko Nakao
Art director Yoshiyasu Miyano
Photographer Yoshihiko Sakai
fiammetta 2024 FMOE-003
#フランスいにしえの吐息