2025.02.10
「フランスいにしえの吐息」に寄せて⑩

今回の新譜「いにしえの吐息」は
長い期間をかけて温めてきたプログラムで
私達は、CD化の前に演奏会をしました。

沢山の、温かいお客様に囲まれて
このプログラムを演奏できたことは
録音に際しても、心の励みになりました。

演奏会に向けて書いていた文章を
ここでまたご紹介したいと思います。
今読み返すと
当時の想いが蘇って
なんとも言えない気持ちになります。

お付き合い下さい。

※※※

「フランスいにしえの吐息」に寄せて⑩

マレと数秘術

今回、演奏する
2巻の「リュリ氏のトンボー」は
ちょうど、99、100ページ目に当たる。
ただそれだけで
私は鳥肌が立つ想いがする。

※※※

18世紀のフランスでは
特にマルセイユ地方で、盛んに
タロットカードが作られて
普及していた。

そもそも、ゲーム用だったタロット。
現存する最古のタロットは
北イタリアのもので
ゲーム用というより
芸術作品として息を呑む美しさだ。

バッハの作品が数秘術と関連があることは
有名だけれど
マレが活躍した当時のフランスにも
数秘術と関連した認識があったと思う。

タロットの理論で数字をなぞると
「1」でエネルギーが生まれ
「2」で初めて前が見える。
「3」で混沌から対象が認識され
同時に、枠や制限も朧気に生じてくる…

※※※

今まで、目の前のことに精一杯だったけれど
やっと、落ちついて
勉強ができるようになった。

ずっと勉強したかった
専門レパートリーに関連する
時代背景、思想を深めていきたい。

大人になった今、
新しいものの見方、考え方に触れる時
今の自分の立ち位置、あり方から
時にはギャップを楽しみつつ
共感したり、刺激を受けて
ただの固まった知識ではなく
現在に生きるメッセージとして
捉えることができる大きな喜びを覚える。

※※※

タロットは、20世紀初頭に
「黄金の夜明け団」によって
「ウエイト・スミスタロット」として
ユダヤ教や古代エジプトなどを理論に取り入れ
新たな産声を上げることとなった。
占い用でも、ゲーム用でもない
魔術系タロットの誕生である。

「魔術」というと
なにか中二病的な響きに聞こえるが
「魔術」とは、本当はなんのことだろう。

今の時代、「魔術」の意義とはなんだろう。
私達はそこに、
なにを見出すことができるのか。

私の大好きなタロティストは
現代の「魔術」をこう定義している。

無意識に固定化された
ものの見方を改めて
複数の視点で俯瞰して捉えることで
気づきを得ていく
それによって、環境を変えていく力

2023年11月8日記

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「いにしえの吐息」
France, the ancient sigh
ヴィオラダガンバ 藍原ゆき
チェンバロ 渡邊温子

販売サイトはこちら(アマゾン)
https://amzn.to/3Py1mBd

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発売記念演奏会
2025年10月19日(日)
開場13:30 開演14:00
今井館 聖書講堂
全席自由4000円
お申し込み、お問合せ先https://yuki-aihara.com/contact

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Disk1
マラン・マレ作曲
「1台もしくは2台のヴィオルのための曲集」1686年パリ より
組曲 ニ短調
Marin Marais
“Pièces a une et deux violes” 1686 Paris
Suite in D minor
マラン・マレ作曲
「ヴィオルと通奏低音のための曲集第二巻」1701年パリ より
組曲 ニ長調
Marin Marais
“Pièces de violes & basse-continues du second Livre de pieces de Viole” 1701 Paris
Suite in D major

Disk2
フランソワ・クープラン作曲
「クラヴサン曲集第四巻」1730年パリ より
第27オルドル ロ短調
François Couperin
Quatrième Livre de Pièces de Clavecin
Vingt-septième Ordre in B minor
マラン・マレ作曲
「ヴィオルと通奏低音のための曲集第二巻」1701年パリ より
組曲 ロ短調
Marin Marais
“Pièces de violes & basse-continues du second Livre de pieces de Viole” 1701 Paris
Suite in B minor

Recorded at 17,18,19/04/2024 Studio Piotita Tokyo
Japan
使用ヴィオラダガンバ
Michel Colichon, Paris 1693年モデル
Pierre Bohr, Milano 2001年製製作
使用チェンバロ
Pascal-Joseph Taskin モデル
Eizo Hori, 1989年作製
調律、調整 横溝昌一

Producer Yuki Aihara, Atsuko Watanabe
Co.producer Atsushi Sano
Mixing engineer Kazuhiko Nakao
Mastering engineer Kazuhiko Nakao
Art director Yoshiyasu Miyano
Photographer Yoshihiko Sakai

fiammetta 2024 FMOE-003

#フランスいにしえの吐息