今年も、ヴィオラダガンバカフェを開きます。
今度は、「ドゥマシの世界」と題しまして
2023年に発表した「ドゥマシの熱い鼓動」の
収録曲、及び未収録曲を合わせ
プログラムを組みます。
アルバム作成に向ける時間は
今思うと、様々な想いが交差し
簡単に言葉にすることはできません。
音楽史上、
決して注目されている作品とは言えない
ドゥマシの「ヴィオル曲集」で
アルバムを作ったこと
誤解を恐れずに言えば、
自分の愛のみで
アクセルを踏み続けたのかも知れません。
それを、沢山の方々に
温かく向かえていただき
感謝してやみません。
当時の手記をご紹介させて下さい。
※※※
「ドゥマシの熱い鼓動」に寄せて⑥
今回、ドゥマシを取り組むに当たり
先日、久しぶりに
90年代半ばに翻訳された
権威ある文献を見てきました。
学術的資料が少ないので
そのこともあるとは思いますが
ドゥマシの評価がかなり低くて
少し残念に思いました。
高く評価されない理由は
3つあるようです。
1、彼はヴィオラ・ダ・ガンバの
最初の出版物と主張しているものの
事実は異なること。
2、彼が提唱した装飾も
完全な彼のオリジナルではないこと。
3、古典的な舞曲を並べた組曲の域を出ないこと。
1と2の、いわば
「誰が最初に始めたか」ということは
これからも色々な資料が見つかるでしょうし
様々な学説が提唱され、覆るでしょう。
私は、演奏者らしく
「3」について触れていきたいと思います。
ドゥマシが残した組曲は
いずれも古典的な舞曲によるものです。
しかし、それが「単調である」という理由には
ならないと思います。
プレリュードはどれも個性豊かですが
舞曲ではないので述べないとして
例えばどの組曲でも2曲目に置かれたアルマンドは
曲のスピード感、拍感など
フレーズを歌う根底に
それぞれ、異なる背景を感じました。
理由はいくつかありますが
1番大きな鍵となるのは
彼がこだわり抜いた編成にあると思います。
彼は、旋律を弾きながら自分で伴奏する
ヴィオラ・ダ・ガンバ1台のために
この曲集を書きました。
そのため、
まず、その曲の調性や
曲の始まりにある音の配置
更には、演奏する場所や
個々の楽器の性格にもよって
微細な音の流れが変わってくる。
そこまで微妙な対話を経て
一曲毎の、更にはその場で生まれる
小さな変化を感じ取り
一期一会の曲運びを味わっていく
生身の人と対話し、
呼吸を感じながら時を味わうように
作品と、楽器と、空間と、時を感じていく
それがこの曲集の持つ
大きな魅力のように思えてなりません。
彼が愛したヴィオラ・ダ・ガンバ
その楽器の可能性を追求し
音楽史上、唯一無二のものとなった
彼の曲集は、
恐らく、奏者固有の息づかいをも露わにし
演奏の度に、一度しか出会えない運び、流れに触れることのできる
宝の宝庫であると信じます。
これから私も
演奏を通じてお客様と対話しながら
あるいは生徒さん方と学びを深めながら
この曲集の、新しい気づきと沢山出会えることと
心踊る想いでいるのです。
#ドゥマシの熱い鼓動
2023年7月30日記
※※※
藍原ゆきのヴィオラダガンバカフェ
【ドゥマシの世界】
2025年5月18日
13:30開場、14:00開演
3500円ワンドリンク、スイーツ付き
カフェヴェルデ
京王線、東急世田谷線下高井戸駅より徒歩3分
プログラム
ドゥマシ「ヴィオル曲集」1685年パリ出版より
2023年に発表したCD「ドゥマシの熱い鼓動」、ご好評いただき感謝しております。今回は収録曲から組曲を一つ、そしてCD未収録の組曲も一つ選んで、プログラムを組みました。
ドゥマシの物語はまだ続きます。応援よろしくお願いいたします。
お申し込み、お問い合わせ
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